最近の計装技術の進歩は皆様御承知の如く、実にめざましいものであり、 所謂オートメーションの技術はエレクロニクス・アイソトープ等の 新技術と相俟って各種産業設備の自動化は勿論のこと、 事務機械・計算機械にも大きな変革を齎し、従来不可能視されていた 複雑な計算や事務の合理化も可能となり、高度な管理方法も着々実施されつつあります。
今後企業間の競走激烈化に当り、企業の合理化、生産性の向上のためには計装装置の完備、 並びに使用する側の計装技術水準を高めることが焦眉の急務であり、 このことは単に直接担当者のみならず上層幹部にとっても十二分の認識を必要とするようになりました。
計装技術は日進月歩の現状に於て、その重要性、その複雑さを考えますときに、 これらをして真に生産に、品質改良に寄興させる為には、相互に連絡を密接にし、 技術の交換を計ることが非常に重要と思われます。
このような目的を以て従来より計装研究会が組織され、九州熱管理協会北九州地区会の 下部組織として運営されて参りました。
飜って日本の計装関係の組織団体は東大自動制御研究会、京大自動制御研究会並びに 当研究会の三者でありました。
前二者は大学を中心に主として理論的成果を目的とする活動を続けていますが、 計装研究会はこれらとやや目的を異にし、現場に直結した計装技術の改良、 研究に主眼を置いて参りました。
これは各工場側のご要望に基いたもので、このような性格の研究会は日本では唯一のものと思われます。
計装研究会は別表の如く、発足以来毎月1回の研究会を開催し、 S31年11月を以て既に33回を重ね発表資料数は134件、参加者は述べ2,822名の多きに上りました。
最初は北九州地区からの参加者のみでありましたが、その後他地区からも存在を認められ、 ご希望の工場から多数の御参加者があり、現在に至りました。
今般皆様の御要望に基き、更に運営面の強化をはかり、内容を充実するために、 新たに独立組織として名称はその儘旧称を踏襲計装研究会とし、 従来の地区的制限を撤廃致すことになりました。
本会は旧計装研究会の性格趣旨並に事業を受継ぎ、更に一歩進んで各種品質管理計器、 計算機アイソトープ等をも包含せる計装技術の研究団体として運営し、 従来に倍加せる活動によって御要望に応えんとするものであります。
右独立改組の趣旨を御賢察、御賛同下さいまして、従来の計装研究会会員の方は勿論、 未入会の方々も新たに御入会下さるよう御願い申し上げます。
ここ発起人一同より趣意書を御送りし入会をお勧めする次第でございます。
敬具
昭和31年12月吉日