この度、第31回日本産業精神保健学会を、2024年8月24日・25日に産業医科大学構内ラマツィーニホールで開催させていただくこととなりました。産業医科大学は、北九州折尾の地に1978年に日本で初めて産業医を養成する大学として誕生し、現在まで多くの産業医を全国に輩出してきました。この産業医学の聖地の一つで本学会を開催させて頂けますことを大変誇りに思います。
メインテーマは「AI時代と産業精神保健の新しいパラダイム~産業医学の聖地からの発信~」と致しました。近年人工知能(AI)の驚くべき進歩により、産業精神保健の分野でも新しいフェーズに突入しつつあります。すでにAIは労働者の健康と安全を向上させる技術として応用されており、産業精神保健の分野においては、労働者のメンタルヘルスをAIによって評価し、個人に応じた予防策を提案することができます。実際、バイオメトリクスセンターやウェアラブルデバイスによる情報をリアルタイムで解析し、メンタルヘルス問題への早期介入が可能となりました。さらに、アバターによるカウンセリングも実現可能となりつつあります。私たちは人の方がアバターによるカウンセリングより優れていると思っていますが、AIと実際の医師によるカウンセリングをRCTで評価したところ、AIによるカウンセリングの方が患者の満足度が高かったという驚くべきデータも報告されています。私たちはすでにAIを産業医学に導入し、AIと産業スタッフが共同しながら労働者のメンタルヘルス問題に立ち向かう時代の入り口にきているのです。
もちろん、個人のプライバシー保護や論理的配慮は最大限になされる必要がありますし、様々な法律的な問題もあるでしょう。このようなAI時代の産業精神保健について皆様と一緒に考えることが出来ればと存じます。8月25日は産業医科大学・上田陽一学長の記念講演も予定しております。是非とも、多くの皆様に日本の産業医学の聖地である、産業医科大学にお越し頂けますことを一同心から願っております。