大会長挨拶Message

第44回日本森田療法学会
福岡県・久留米大会
大会長小曽根 基裕
久留米大学医学部神経精神医学講座 教授
大会長 小曽根 基裕

“誰にでもできる”森田療法

― 現代精神医療への再実装 ―

 このたび、2027年10月16日(土)から17日(日)の日程で、福岡県・久留米市の久留米大学医学部看護学科・医療検査学科1号館において、第44回日本森田療法学会を開催させていただくことになりました。久留米大学では過去に第8回大会を1990年に王丸勇名誉教授を大会会長として開催させていただきました。当時私も一般演題「外国人精神障害者に対する森田療法的アプローチの諸問題」の共同演者として参加しました。

 本大会のテーマは、「“誰にでもできる”森田療法― 現代精神医療への再実装 ―」といたしました。

 森田療法の源流と伝統を大切にしながらも、現代の精神科医療ならびに人々の暮らしの中で、森田療法をどのように生かしていくのかを改めて見つめ直す機会にしたいと思っております。

 現在の精神科医療では、薬物療法や認知行動療法が大きな役割を果たしております。一方で森田療法は、決して特定の型や技法のみにこだわるものではなく、日常臨床から健常者のメンタルヘルスに至るまで、幅広く人々の健康を支えるための多くの示唆を与えてくれる療法であると確信しております。

 また、現代医療が対象としているのは多くが慢性疾患であります。不安や苦悩を「なくす対象」としてのみ捉えるのではなく、「抱えながら生きる」という森田療法の視点は、現代医療において、その重要性をむしろ増しているように思われます。そして森田療法の本質は、一部の専門家のみが扱う特殊な技法ではなく、日常診療の中で誰もが実践し得る臨床の知恵にあると考えております。「誰にでもできる」という言葉には、そのような森田療法の普遍性と実践性を、現代医療の中で改めて見直したいという思いを込めました。

 福岡・九州地域には、人と人とのつながりや生活文化を大切にする土壌が色濃く残っています。また久留米は、豚骨ラーメン発祥の地として知られるほか、焼き鳥文化や豊かな食材、歴史ある酒蔵など、多彩な食文化にも恵まれた地域です。

 森田療法が重視する「生活の事実に即して生きる」という姿勢を見つめ直すうえでも、この地で皆様と議論を深められることに大きな意味を感じております。

 皆様のご参加を心よりお待ち申し上げております。