会長挨拶

第12回母と子のメンタルヘルスフォーラムin 山口
会長佐世 正勝
(山口県産婦人科医会 会長)
第12回母と子のメンタルヘルスフォーラム in 山口 会長 佐世 正勝(山口県産婦人科医会 会長)

日本産婦人科医会第12回母と子のメンタルヘルスフォーラムを2027年5月23日(日)に山口県産婦人科医会が担当して開催をさせていただくこととなりました。会場は山口市にありますKDDI維新ホールです。新幹線の停車するJR新山口駅から徒歩1分の立地です。JR博多駅からのぞみで40分、JR新大阪駅からは2時間です。東京羽田空港から毎日10便の定期便がある山口宇部空港から直通バスで30分です。本州の西の端ですが、交通の便は比較的良好です。

我が国における妊娠に関連した母体死亡数は年間30人前後であり、世界で最も良好な国の一つです。しかし、この数値に用いられる期間は産後42日未満です。警察庁では、死因が自殺と判断された際に、亡くなられた方の年齢、性別、職業、推測される自殺の原因・動機などについて、自殺統計を作成しています。2022年1月より、女性の自殺者については、妊娠中あるいは産後(1年以内)に該当することが把握された場合、その状況に関して記録されるようになりました。その結果、今まで表に出てこなかった産後3ヶ月から1年までの間に、妊娠中・産後2ヶ月の間以上の数の産婦さんが自殺されていたことが明らかとなりました。この中には心中という形で子どもが道連れ(虐待死)となっている場合もあります。

妊産婦の1割程度は精神的な問題を持っていることが報告されています。母集団から拾い上げられたリスクの高い妊産婦を支えていくためには、精神医療と連携し適切な薬剤投与が必要になることが多くあります。いくつかの薬剤には催奇形性があります。しかし、ほとんどの薬剤では出生後早期の医療的介入は必要となりますが、長期に渡る影響は報告されていません。出産を含む時期を乗り切っていくため支援には、妊婦・産婦、新生児・乳児、産科疾患・精神疾患、パートナー・家族、医療・行政等、いろいろな疾患や状態に対応することが求められます。

山口県産婦人科医会では山口県医師会と共同で2017年より山口県の委託を受け産婦人科医、精神科医、看護師・助産師、心理師、保健師に対し精神的な問題を持つ妊産婦に関するアンケート調査を行うとともに、意思の疎通を図るための研修会や講演会を行ってきました。2025年に山口県医師会より「山口県における精神的な問題を持つ妊産婦の支援ガイド(初版)」を刊行し、妊産婦に対応する医療機関、公的施設、関連団体に配布しています。産婦人科医療機関には、心理師を仲介役とし助言とともに妊産婦に対応可能な精神科診療施設を紹介する体制をとっています。精神科治療薬による影響を受けて出生してくる新生児には、出生時から薬剤の影響が消失するまで新生児医療を提供する一貫した体制をとっています。

フォーラムの基調講演は、相良洋子先生(日本産婦人科医会副会長)に「わが国におけるメンタルヘルスハイリスク妊産婦の現状」をお話し頂きます。次に菊地紗耶先生(東北大学精神科准教授)から「メンタルハイリスク女性に及ぼす妊娠の影響」についてご講演いただきます。ランチョンセミナーは明和政子先生(京都大学教育学部教授)に「腸内細菌叢と母親の育児ストレスや心身のレジリエンスの関連」、特別講演1は関沢明彦先生(昭和医大産婦人科教授)に「妊産婦の自殺と心中・子殺し」と特別講演2は竹原健二先生(国立成育医療研究センター政策科学研究部部長)に「父親の産後うつ」の講演をお願いしました。シンポジウムでは「多職種が支える地域のハイリスク妊産婦への支援」について6人の先生から発表いただき山口県の現状と課題について討論を行います。

周産期メンタルヘルスに従事されている多くの皆さんの熱心な討論を期待しております。新緑に包まれたシーズンです。この機会に山口の自然と歴史に触れて頂ければ幸いです。多くの皆さまのご参加をお待ちしております。