研修2 デジタル教科書、入試におけるタブレット利用の最前線とオンライン授業 ① GIGAスクールから,オンライン授業,大学進学における配慮要求まで  氏間 和仁(広島大学)  GIGAスクール構想において文部科学大臣は「PC端末は鉛筆やノートと並ぶマストアイテムです。・・・多様な子供たちを誰一人取り残すことのない公正に個別最適化された学びや創造性を育む学びにも寄与するものであり,特別な支援が必要な子供たちの可能性も大きく広げるものです。」(2019年12月19日)といったメッセージを出した。さらに,「学校の情報環境整備に関する説明会」において「これからは,教育にICTを利用しないことに対する説明責任が問われます。」といった説明があった(2020年5月11日)。つまり,ICTが教育に果たす役割は,紙や鉛筆と並ぶ道具であり,何らかの困難のある子供にとって紙や鉛筆と並ぶ道具の選択肢が増えることは,学びや生活へ公平に参加できることを意味しているといえる。また,「新しい時代の初等中等教育の在り方 論点取りまとめ」(2019年12月)では,(1) 一人一台のコンピュータや大容量通信ネットワークなどにより多様な子供たちの一人一人に応じた学びの提供,(2) 特別な支援が必要な児童生徒等に対する個別支援の充実,(3) 生涯を通じた心身ともに健康な生活を送るために必要な資質・能力の育成などが指摘されている。特別支援教育は,特別支援学校はもちろんのこと,広く地域の小中高等学校で実践され,それを推進するための強力なツールの一つとして,ICTが改めて注目されている。このような特別支援教育およびICT活用の推進は,視覚障害のある児童生徒の学びの機会の拡大に大きく貢献する。併せて,今回の感染症への対応で明確になったのがオンライン指導などのICTの活用スキルを身につけておくことが,以下に先の見通せない課題に対処することに貢献するかである。さらに,どのような学びをしてきたかが,大学進学や社会への旅立ちにも大きく影響を与えている。ここでは,それらの教育制度の概要から,実際に視覚障害のある児童生徒の学びの様子を外観し,我々専門職がどのように関わることが求められるのか,考えてみたい。 略歴 1994年 愛媛県立松山盲学校教諭 2006年 福岡教育大学教育学部講師 2008年 福岡教育大学教育学部准教授 2011年 広島大学大学院教育学研究科准教授 現在に至る